高飛舎blog

京都を拠点に女の道を究める者の集う場・高飛舎のblog。映画感想や女の道を語るメンバーのよもやま話など。
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『幕末太陽傳』 監督:川島雄三 (1957年)
柴田:家のDVDデッキが壊れてしまい、
   TSUTAYAでビデオでのレンタルがされていたというだけの理由で借りました。
   恥ずかしながら、監督名も知らない真っ白な状態で、拝見。



『幕末太陽傳』 監督:川島雄三 (1957年)
出演:フランキー堺, 南田洋子, 左幸子, 石原裕次郎, 芦川いづみ 他

無一文で大尽遊びを楽しんだ佐平次は計画的にそこへ居座る。
宿にいた高杉晋作ら志士たちと仲良くなり、
次第に人気者になっていったが・・・(「DVD NAVIGATOR」データベースより)



 ががが〜ん、面白い。
 フランキー堺氏の演技を見るのも初めてだったと思うんですが、
 なんと身のこなしの軽やかなことでしょう!
 羽織をさかさまにパッと上に投げて、さっと袖を通す演技が
 江戸っ子、町人の生き生きとした様を感じさせてくれる。すごい・・・

 画面で、すげー、と思ったのが、花魁2人がけんかするシーンで、
 延々けんかしている・・・
 中庭に出て帯引っつかんで、遊郭の二階まで追いかける、というのを
 上から写している。
 
 この映画の脚本を手がけた藤本義一氏の本を読むと、
 監督は花魁を演じた左幸子氏と南田洋子氏を
 演技外の時から仲たがいするよう仕向けていたとか。すごい迫力。

 落語を基にしている喜劇ということあって
 時代劇でも非常に生き生きして面白い。
 だがどこか悲しい感があるのは、
 フランキー氏演じる主役の左平次が病んでいたり
 ものを頼まれると断りきれない性格だったりと、いろいろ奥深い。

 この一作で川島雄三という監督に興味津々となりました。
 で、藤本義一氏著の「川島雄三、サヨナラだけが人生だ」も読みました。
 よかったです。


| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 16:23 | comments(16) | - |
『砂の女』 監督:勅使河原宏 (1964年)
柴田:阿部公房氏の原作はすでに読んでいました。
   すごい話で、非常に面白く思いました。

   で、映画のほうも評判を聞いておりまして
   見たいと思っていたのでした。



『砂の女』 監督:勅使河原宏 (1964年)
出演:岡田英治 岸田今日子 他
昆虫採集にやって来た男は、
砂の穴の中にある未亡人の家に泊めてもらった。
だが、そこから抜け出せなくなってしまう……。
抽象的な原作を映画化した作品で、カンヌ映画祭審査員特別賞等を受賞している。


 なーーーーーーーーーーー、こわ〜・・・・・・・
 このモノクロの画面を見ただけで、怖かった・・・ 
 海のように広がり、流れる砂が、すごい・・・

 若き岸田今日子氏の色っぽいこと。
 閉鎖的な砂の家の鬱屈した中で、ねっとりした彼女の存在が怖色っぽい。
 分厚い唇とか、ちょっとはだけた胸元とか。こわい・・・

 はじめ、岡田氏が砂の家に来て早々の、
 岸田氏との会話のかみ合わない感じが、怖かったですね。
 「砂がすべてを腐らせるんです」
 「そんなわけないじゃないですか、ま、どうでもいいけど」みたいな会話。

 途中、一瞬脱走できたところも怖かったですね。
 
 終わりも怖かったですね。
 いやあ、素晴らしく怖かったですね。
 私、怖いしか書いてないですね。

 希望という貯水穴を大事に抱えて、  
 結局砂の世界に丸め込まれてしまった岡田氏・・・
 なんかもやもやした後味が残りますね。
 わが身はどうだろう、と不安にさせられます。

 
 めちゃめちゃ怖かったですね。
 本当に、阿部公房氏の緻密な文章に描かれた世界が
 視覚的に飛び込んで、自分も包まれてしまった感がしました。
 原作を読み直したいと思います。はい。
 

 
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 17:50 | comments(1) | - |
『兄とその妹』 監督:島津保次郎 (1939年)
柴田:若き日の青年・佐分利信氏が好きですねぇ。
   なんか、不器用で男らしい印象があるのです。
   
   で、彼の若き日の代表作の一つだと聞いた
   「兄とその妹」を見ます。


『兄とその妹』監督:島津保次郎 (1939年)
出演:佐分利信 桑野通子 三宅邦子 笠智衆 他

サラリーマンの間宮(佐分利信)は妻(三宅邦子)と妹(桑野通子)との3人暮らし。
会社の重役との碁で毎日帰りの遅い間宮を、
妹は同僚のやっかみを買うのではないかと心配する。
貿易会社で社長秘書をする妹は、
会社に出入りする青年(上原謙)から見初められる。
間宮の会社の重役が彼の叔父であったため、
その縁談が重役経由ですすめられるが・・。


 この松竹らしいメンバー、松竹らしいホームドラマ、いいですねぇ。
 どうもささやかな日常動作が美しく感じます。

 妹が出かける時に兄の靴を磨いてあげるとか、
 兄が顔を洗うときに袂を持ってあげるとか。
 
 妻が夫のコートのホコリをはらってあげてるとか。

 妹が誕生日会を開いて、後で義姉に費用を払うとか。
 お土産にアイス買ってくるとか。
 
 夫である佐分利氏も妻の掃除をちゃんと手伝っているあたり、
 昔の男も優しいとこあるやないか、とほほえましい。

 こういう日常のなんでもないようなことを、
 省かずきっちり描かれると、日常生活が愛しく感じられますね。
 心がやさしくなるわ〜。

 
 物語のほうは、本当にささやかなものでした。
 佐分利氏の不器用で生真面目な感じが、なんか可愛らしい。
 「自分は間違ったことをしていないんだから」と
 堂々としているところは男らしい。

 しかしやっぱ妹のほうが周りが見えてるんですかね、
 兄の重役がらみの結婚話を、即座に受けるべきでないと判断したところは
 賢いなぁという感じです。

 でも妹の気遣いかなわず、正義感あふれる兄貴は会社を辞めちゃうんだけど。
 その兄についていく妹は、やっぱえらい!
 

| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 11:49 | comments(0) | - |
『煙突の見える場所』 監督:五所平之助 (1953年)
柴田:五所平之助監督作品を見るのはこれが初めてだと思います。
   なんとなく、タイトルがよさげだったのとキャストに惹かれて
   手にしたのでした。



『煙突の見える場所』 監督:五所平之助 (1953年)
出演:上原謙 田中絹代 芥川比呂志 高峰秀子 他

見る場所によって4本、3本、2本、1本にも見える、
東京・千住のオバケ煙突。
その界隈の安い貸家に住む緒方隆吉と弘子の夫婦は
2階を仙子と健三というふたりの独り者に貸している。
夫婦は仲睦まじく暮らしていたが、
ある日、家に赤ん坊が置き去りにされていた…



 このオバケ煙突というのが面白いですね。
 ひし形に4本の煙突が立っているので
 角度によっては1本にも2本にも見える、というのが意味深い。
 題材として面白いので、かなり有名な煙突だったらしいですけど。

 物語としては、ほぼ緒方夫婦と2階の間借り人・仙子と健三の4人が主なのですが
 面白いなぁと思ったのは、下町の生活で
 誰も他の人がうらやましくない、というか、
 「隣の芝は青く見えない」という感じ。
 
 仙子から見て、下の夫婦は仲よさげだけどちっともうらやましくないし
 仙子の同僚でお金持ちの年上社長と結婚した友人も幸せそうでないし。
 
 緒方家の近所の子沢山家族もなんかうらやましくないし
 宗教で儲けてそうな家族も、なんだかな〜という感じ。

 でも、それぞれ皆それで良いようで、
 どうも端から見ると煙突は4本にみえても本人たちには1本に見えてるのかも、
 といった感じです。それに尽きる。

 
 芥川比呂志氏演じる健三の、
 正義感あふれる悩める青年が可愛らしく、ほほえましい。
 なかなかこのような人物像は現代映画には出てこないんだけど
 50年代くらいの映画ではよく見る感じでしょうかね。
 
 仙子を演じていた高峰秀子氏は、若いのにどこか枯れている人がうまい。
 
 上原謙氏・田中絹代氏のコンビ作品はたくさんあるようで
 私もいくつか見た記憶がありますが
 私の中での田中氏は古風な印象で、
 夫に見せる可愛らしい仕草に少し違和感を感じないではなかったです。
 うーん、文芸作品的な印象が強く、
 軽やかさとかコメディエンヌ的なイメージがないのかな。 
 もっとたくさん田中絹代作品をみるとまた印象が変わるのかも。
 
(追記)
 あ、わかった。
 これまで溝口作品で田中絹代氏を見ることが多く、
 五所監督のようにアップで田中氏を見る機会が少なかったための
 違和感だったように思います。

 田中絹代氏は奥ゆかしい演技が印象的で
 風景の中に佇んだ印象が強かったので
 アップの画面に引っかかりを感じたのです。
 他の五所監督作品を見ていけば馴染むかも。

 こうやって、この本題のように
 見る角度によって印象が変わるってことですね。
 健三に対する仙子の感情である、
 「好きなときもあるし、嫌いなときもある」といった感じで。
 でも最終的には仙子が健三に「愛してる」と感じたように、
 今作品の田中氏のことも、素晴らしく思ったのです。はい。
 
 
 
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 11:31 | comments(0) | - |
『稲妻』 監督:成瀬巳喜男 (1953年)
柴田:はー、ようやく、成瀬監督の『稲妻』を観ます!
   名作のようですが、内容に関する予備知識はまったくないまま
   真っ白状態で観ますよ。




『稲妻』 監督:成瀬巳喜男 (1953年)
出演:高峰秀子 浦辺粂子 三浦光子 村田知英子 他

東京の下町。雑貨屋の三女・清子(高峰秀子)は、
四人兄妹それぞれの父親が違うという、複雑な家庭環境の中で暮らしていた。
既に嫁いでいる長女の逢子(村田知英子)は気が強く、
夫に先立たれた次女の光子(三浦光子)は、ただ途方に暮れるばかり。
そして兄の嘉助は、冴えない平凡な男だった。
そんなある日、長女の逢子が清子に両国でパン屋を営む綱吉との縁談を持ってくる。
だが次女の光子は、綱吉が逢子と関係を持っていることを知り…。



・・・・・・・これは、名作ですね。むむう。

 清子が長女に頬っぺたを叩かれたシーンで、ハッとさせられました。

 自分の意思に反して付きまとってくる厄介事のエピソードが続く。
 だらしなくみえる家族とか、女の性とか。宿命というのだろうか。

 清子は何とかその厄介事から逃れようとするが、巻き込まれてしまう。

 間借人の女の人や、下宿先のお隣さんなどは
 それぞれ貧困とか、両親がいないとか、宿命を背負っているけど
 清子からみるとうらやましくみえるのだろう。

 ラスト。
 清子は自分に付きまとう厄介事の責任は、母にあるという思いがつのって
 母(浦辺粂子)に怒りをぶちまける。
 でも母に言ってもしようがない。
 母も宿命によって人生を右往左往してきた人なのだ。
 
 結局仲直り、というか、やはり親子の縁という宿命でもって
 二人は一緒に歩いていく。
 ううん、いいシーンだ。
 指輪が本物だった話は、救いだ。
 

 浦辺粂子という人はそうとう味わい深い人だと思った。
 溝口、小津、伊藤大輔などなど名監督作品にも出ている彼女だが
 彼女の台詞というと、
「だっておまえ、しょうがないじゃないか」という言葉が浮かぶ。
 人生のどうしようもない部分を引き受けてきた感がにじみ出ている。


 高峰秀子氏も相当素晴らしかった。
 清子が仏壇の葡萄を食べるシーンがよかったですね。
 ぽいぽい皮と種を捨てながら話をするところとか。

 印象的なシーンが続く映画でした。
 
 
 

  
 
 
 
 



| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 07:55 | comments(2) | - |
『妻』 監督:成瀬巳喜男 (1953年)
柴田:「成瀬監督は女優を美しく撮る事に興味がない」って。
   「原節子伝説」という本に書いてあった。

岡崎:まー、監督ったらいじわるねぇ。

柴田:いじわるねぇ。

   成瀬作品には数々の倦怠期夫婦が出てまいりましたが
   このたびの「妻」は、原節子氏ではございませんで
   上原謙氏と高峰三枝子氏という組み合わせですね。
 
   あ、原作は林芙美子や。『茶色の眼』やって。


『妻』 監督:成瀬巳喜男 (1953年)
出演:高峰三枝子 上原謙

結婚10年の倦怠期に入った夫婦。
夫(上原謙)は妻(高峰三枝子)の日常態度に興ざめして
気持ちがどんどん離れていく。
そして会社で同僚だった美しい未亡人に心がひかれる。
夫の浮気を知りショックを受けた妻は強行手段に出る・・・



柴田:あらすじにすると、まあ、なんとも現実的な感じですが・・・
   映像になると・・・ほんと、成瀬監督って、いじわるねぇ。

岡崎:世の男性諸氏は「あ〜、妻のこんな態度、あるあるある・・・」ってな
   感じでしょうか。

   でもね〜、おうちの中ってくつろぎの場ですから、
   妻が家でリラックスしてても責めないで欲しいわ〜。

柴田:しかし、「物を食べる」って行為って
   はしたないものなんやね、ということを痛感したね。
 
岡崎:あー、女を美しく撮る事に興味のない監督は、
   めっちゃ食事シーンを映してはったね。
   妻がおせんべい食べるとことか、お箸を楊枝にしたりとか
   お茶でうがいとか。

柴田:天ぷら貰ってコロッと態度かえるとか。
   やっぱ食欲とかもはしたないねんで。
 
岡崎:夫婦って、生活をともにするねんから
   はしたない所も見せ合うやんか。

柴田:そうそう、「アイツのはしたない所を見られて、俺ってトクベツ?」みたいな。
   親近感はわくもんね〜。はじめのうちは。
   でもお互い「はしたない」と思ってんとあかんねんで。
   
   昔でも、きものの裾からちらりと見える、長襦袢が色っぽかったのは
   下着を見せるのがはしたないことやったからやで。
   それをバーンと「見せる下着・キャミソール」なんて、
   もはや下着の感覚もないから、色っぽくないやん。もう普通やん。

岡崎:う〜ん、はしたなさを感じるから色っぽくもなるってか。

柴田:そう、食欲とか性欲、とか、ま、睡眠欲も、
   あって当たり前の欲求やけども、しゃーないねんけども、
   やっぱ欲ってはしたないねんで。
   夫婦とはいえ人に見せるのは、やっぱ恥じらいをもたんと。
  
岡崎:・・・それが倦怠期を乗り切る方法?

柴田:あ、そりゃ分からん。

岡崎:あっそう。なんやねん。

柴田:まー、でも、気ぃつけなあかんと思ったで。
   妻が浮気相手の所に乗り込んだときはハラハラしたもんね。
   自分には非がないと思ってたんかなぁ。
   結局元の鞘におさまる格好になったけど、
   倦怠は続くやんと思ったら、もやもやした終わりやなぁ。

岡崎:その後の物語では離婚もありうると?

柴田:あ、そりゃ分からん。
   夫婦のことは分からんわ。

岡崎:なんやねん。
   

岡崎:馴れ合ったらあかんのやろうな。
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 07:09 | comments(0) | - |
『下郎の首』 監督:伊藤大輔 (1955年)
柴田:友人が、時代劇の名作として、「下郎の首」を薦めてたんだよ。
   大学の映画の授業で、
  「日本人に生まれてよかったと思わせてくれる作品だ」って紹介されたんだって。

岡崎:ふーん、ふーん。へー。
   それは日本人としてみておかねば。

柴田:でも意外と知れ渡ってないやん?
   どのレンタル屋さんでも置いてへんかってね、
   最近、図書館においてあるのを知ったのさ。

新東宝傑作コレクション 下郎の首 デジタルニューマスター版
新東宝傑作コレクション 下郎の首 デジタルニューマスター版
田崎潤
『下郎の首』 監督:伊藤大輔 (1955年)
出演:田崎潤 高田稔 片山明彦  嵯峨三智子 他


父(高田稔)の仇を討つため旅に出た結城新太郎(片山明彦)が病み、
下郎の訥平(田崎潤)が大道芸をして糊口をしのいでいる。
訥平を哀れんだ女お市(瑳峨三智子)が情けをかける。
封建社会にあった主従関係の非情さをリアルに描き出した意欲作。



岡崎:ははー、すさまじいラストだったね。
   こりゃ名作やわ。
   「飼い主に手をかまれた犬の話」という紹介文に納得したわ。
   こりゃ大変やったわ。

柴田:・・・・・・・

岡崎:どうしたん?絶句して。

柴田:なんと・・・なんにも救いのない話やったで。

岡崎:うん、ほんまやね。

柴田:私、「日本人に生まれてよかった」って作品やって聞いてたから
   よかったわ〜ってしみじみする作品かと思ってた!!!!

岡崎:ははは。
   え〜、でもこういう父の仇とか、忠義とか裏切りとかって、
   すごい日本人的な感覚でないと感動できひんことない?

柴田:そやろうけど。

岡崎:「『よかった』と思える」っていうのを
   もっとストーリーから感じられると思ってたんや。ははは。

柴田:なんか、ラストに近づくにつれて、おかしいと思ってん。
   なんか全員かわいそうな感じやったやん。
   中間の手紙のシーンなんかめっちゃすごかったやん。
   お市なんか、駆けたら殺されるわで踏んだり蹴ったりやし。
   主人も戻ってくるわ間に合わんわ馬鹿にされるわで、どうしようもないし。
   あ〜、今もまだ心が痛いわ。

岡崎:ははは。ショック受けすぎやわ。

柴田:わー、名作やなぁ。ショックなくらい。
   若いころの丹波哲郎氏がかっこよかったなぁ。
   陰のある存在感がええなぁ。
   あと、嵯峨三智子氏の作品を見たのははじめてやったけど。

岡崎:最初、あれっと思った。
   山田五十鈴さんかと思ったね。めちゃそっくり。

柴田:ういういしい色気が出てまして、よかったなぁ。
   歯磨きシーンとか、可愛い。

岡崎:でも踏んだり蹴ったりで死んじゃったね。

柴田:そうやねん。めちゃショックやったわ。
   日本人のいいところって、ワビサビの世界って、忠義って、めっちゃ暗いわ・・・

    
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 00:00 | comments(0) | - |
『ひばり・チエミの弥次喜多道中』 監督:沢島忠 (1962年)
柴田:東映太秦映画村の芝居小屋セット内に
   『ひばり・チエミの弥次喜多道中』のポスターが貼ってありまして。
   
   そういえば、『鴛鴦歌合戦』の時代劇ミュージカルはなんか面白かったな、
   と思っていたら、たまたま先輩にあたる人が
  「これ、ビデオ持ってるで」と言って貸してくれたのでした。



『ひばり・チエミの弥次喜多道中』 監督:沢島忠 (1962年)
出演:美空ひばり・江利チエミ

東海道を旅するお君とおとし。
ひょんなことで麻薬団に間違われ、大ピンチの2人を助けたハンサムな与力に、
2人ともあっという間に一目ぼれ。
大混乱の2人の珍道中を歌と踊りで描いた傑作ミュージカル時代劇。


 めっちゃ面白い。めちゃ楽しい。

 美空ひばり氏の役者としての作品をまともに見たのはこれがはじめて。
 相当素晴らしい役者さんですね。
 オープニングの石川五右衛門の口上「絶景かな〜」で、つかみはOK.

 江利チエミ氏のおっちょこちょいな感じに対し、
 ひばり氏のコメディエンヌっぷりも魅力的で、
 近目(近視)という設定のせいもあるだろけど、どことなくやっぱ色っぽい。可愛い。

 もちろんひばり氏・江利チエミ氏ともに歌は問題なく良いし、
 なによりこの二人のキャラクターが生き生きしてる。
 アドリブなんちゃうんと思わされる台詞のやり取りもあって、楽しい。

 何事にもくよくよしない若き女の子の旅物語は、楽しいなぁ。
 また、この二人に翻弄される千秋実氏のコミカルな演技が巧み。

 昔の時代劇の迫力はなんか圧倒されますねぇ。
 エネルギーがすごいわ。
 立ち回りシーンだけでなく、シーンごとの気合がすごい。
 町民パワーの熱気というか、なんでしょ。
 見ているこっちもクヨクヨなんて出来ない、ご陽気パワーに飲まれました。
 いやあ、痛快娯楽作品は、いいですよ。
 

 
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 16:12 | comments(0) | - |
『女の中にいる他人』 監督:成瀬巳喜男 (1966年)
柴田:成瀬監督のミステリーサスペンスものだという。
   「女の中にいる他人」ってタイトルだけでも
   ちょっとこわそ気ですね・・・

女の中にいる他人
女の中にいる他人
小林桂樹

『女の中にいる他人』 監督:成瀬巳喜男 (1966年)
出演:小林桂樹 新珠三千代 三橋達也 若林映子 他 

田代(小林桂樹)の友人・杉本(三橋達也)の妻さゆり(若林映子)が殺された。
その後、田代は妻の雅子(新珠三千代)に罪の意識から
自分が犯人であることを告げてしまう。
浮気と殺人という夫の裏切りに驚愕しつつ、
雅子は子供たちのためにもと夫の自首を許さず、真相を闇に葬るべく、
ある画策をする……。


 
 これ、めっちゃ怖いですね。心理的に。
 たぶん、台詞を聞かなかったとしても絵を見てるだけで怖いと思います。
 前半、奥ゆかしくニコニコしていた妻が
 ろうそくの炎の中で情念の表情を見せる・・・ひ〜。
 
 晩年の成瀬監督がこのように濃密な心理を描いた作品をとっていたとは。
 非常に洗練されて、ぐぐっと引き込まれるようでした。

 しかし、罪ってなんなんでしょ。
 
 この映画ですと、田代はオープニングからずっと殺人の罪に悩んでいた。
 でも、殺された女もうっとりと首を絞められた。
 妻も「黙ってらして」と言った。
 殺した女の夫も、「黙っていろ」と言った。
 誰も罪を攻めないのに、自分は罪の意識に苦しんでいる。
 誰かに責めて欲しかったのか。

 従順な妻も、夫の罪を責められたいという身勝手さ?は許せなかったようで。
 こわい結末を引き起こすのです。
 
 新珠さんの、物静かな物腰の中に秘める
 女の別の顔というのが、非常によく表れていてすばらしかったです。
 また、モノクロ映画のよさが生かされていました。
 やっぱ、モノクロはいいですね。 
 

 
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 10:21 | comments(3) | - |
『乱れ雲』 監督:成瀬巳喜男 (1967年)
柴田:「乱れ雲」を借りてきました。
   成瀬作品なのにカラー映画だということだけで、
   なんかいつもと違うようなハイカラな気がしてどきどきします。 
   役者が司葉子氏・加山雄三氏ということだけでも
   現代的な雰囲気が漂っていますねぇ。


乱れ雲
乱れ雲
加山雄三

『乱れ雲』 監督:成瀬巳喜男 (1967年)
出演:司葉子 加山雄三 森光子 加東大介 土屋嘉男 他

愛する夫・宏を交通事故で亡くした由美子。
事故の加害者・三島史郎は裁判の結果無実となるが、
彼は由美子に示談金を支払うことを約束する。
やがて実家に帰った由美子は史郎と再会するが…。
夫を交通事故で亡くした女と事故の加害者である男の、
許されない愛に揺れ動く心模様を描いた作品。


 まあ・・・なんというドラマチックなメロドラマでしょう。

 由美子(司葉子)にとって、ご主人が事故で亡くなったのが一番の不幸だけど
 これ、加害者の三島(加山雄三)がいい人だったというのも、
 つらいと思うんです。

 三島は事故を起こしたということ以外、本当にいい人なのだ。
 過失がなかったとして公にも無罪になったし、
 示談金を払うと申し出るほど、罪を償いたいと思っている。
 
 困りますね、ほんとに。
 もし詫びる気持ちがあるなら、恨ませて欲しいと私なら思っちゃいます。
 悪人に成り下がって欲しい。

 でも、正義感あふれる三島さんはそうはさせてくれません。
 何かと偶然出会ってしまいます。この二人。
 人間味を感じてしまうと、憎むこともままなりません。
 由美子さんとしては辛かったでしょう。
 
 加山雄三氏演じる三島は、もうびっくりするぐらい強烈に
 太陽のようなポジティブ人間なんですね。 前向きなんです。
 事故は過去として(もちろん謝罪の意は持ちつつ)、
 これから自分はどう償っていくかを考え、
 由美子にもこれから先幸せに生きて欲しいと願う。
 こりゃ正しい考えです。
 事件のことがなくこんな人と暮らせたら、人生明るい。

 しかし、夫を失った由美子にしてみれば、
 過去があってのこれからしか考えられないでしょう。
 なにかの折に、つい夫を思い出す、事故を思い出す。
 過去に浸る、振り返る。

 これじゃ絶対二人は結ばれないだろうと思っていました。
 私は映画の間中、十和田湖の話が出るたびに
 「由美子さん、自殺するんじゃ・・・」と心配していました。
 まあ、由美子さんはしっかりしてて良かったです。
 でも、やっぱりそうか・・・というラストでも胸が痛みました。
 ううむ、つらいですね。
 
 
 若かりし加山雄三氏は、正義感溢れる青年オーラがめちゃ出ていました。
 本当に圧倒的に明るいタイプの人です。
 私は若き加山雄三氏というと「分かりません」という台詞を
 よく言っているような印象がありまして。
 正論通りでないことが起こったとき、理解できないという感じで
 「分かりません」と言うのである。
 人は正しい理屈ばっかり通るわけじゃないということが、ちょっと通じないような
 青年らしい生真面目さのイメージですね。
 迷いが無くて男らしくて魅力的。
 だけどちょっと青い感じが母性本能をくすぐるんでしょうね。

 司葉子さんの清楚で上品で、芯の強い感じの女性像がよかったです。
 いやあ、よかったです。
 オープニングや過去の回想シーンでの無邪気な笑顔から、
 事故を経て、つらい過去を背負ってしまった女の深みのある佇まいが
 なんとも、ぐっときました。
 
 
 

 



 
| 柴田洋子 | 4.5畳映画館(邦画感想) | 11:53 | comments(2) | - |


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